こんにちは。「小さく楽に豊かに暮らす」ダウンサイジングの専門家、整理収納アドバイザー×司法書士の長谷川絹子です。
先日新聞で目にした、高齢者に暮らしに欠かせない「医・食・住」という言葉。
年齢があがるにつれ、「医」の重要度が高くなることがうかがえるフレーズです。
2019年の厚生労働省の調査によると、70歳以上の7割がなにかしらの通院しているそうです。
ちなみに30代~40代の通院率は2~3割。
若いころは通院している人の方が少ないですが、年をとると通院していない人の方が少なくなるというわけです。
高齢者の7割は通院している
では実際に、高齢者はどのくらいの頻度でどのようなところに通っているのでしょうか?
国土交通省の調査によると、通院による外出は65歳以上で月3.0回、75歳で3.5回とのことです。
高齢者になると、10日に1回以上は、通院による外出を要するということでしょう。
ちなみに65歳以下だと、平均は月1.9回。
持病がない健康な65歳以下で毎日いそがしいという方は、病院に行くのは風邪をひいたときくらいで年1,2回という方も多いかと思います。
それが月3回となるのは、今はイメージがわかないかもしれません。
少し古いですが、平成17年の内閣府の調査によると、75歳以上でほぼ毎日通院している人は2.5%、週に2,3回という人が11.2%、75歳以上の約1割強の方が高頻度で通院しているということになります。
高齢者の生活に不可欠となるかかりつけ内科・眼科・歯科
通院している人の傷病別にみると、男女ともに断トツ1位が「高血圧症」。
「えっ!そんなに高血圧の人が多いの!?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
日本高血圧協会によると、男女ともに70歳以上では75%近い人が高血圧の状態にあるそうです。
日本人の高血圧の最大の原因は、食塩のとりすぎとのこと。男性では、肥満が原因の高血圧も増えているようです。
確かに60代になっても献血に通っていた健康自慢だった私の母も、70近くになってからに高血圧が発覚して定期的に通院するようになりました。
高血圧以下は、男女ですこし異なります。
男性は、2位糖尿病、3位歯の病気、4位眼の病気、5位脂質異常(高コレステロール)
女性は、2位脂質異常(高コレステロール)、3位眼の病気、4位歯の病気、5位腰痛症。
つまり高齢者の暮らしには、「かかりつけ内科」「歯医者」「眼科」は欠かせないものであることがいえそうです。
「通院」が億劫にならない住まいの選択を
2014年の国土交通省の調査によると、高齢者にとっての理想の住まいに「買い物施設、医療・福祉・介護施設へのアクセスの良さ」があげられます。
前期高齢者(60歳~74歳)においては、理想の住まいに求めるものとして1位が「買い物施設へのアクセス」、2位が「医療・介護関係施設へのアクセス」となりますが、後期高齢者(75歳以降)においては1位の買い物施設と2位の医療・介護が逆転します。
年齢を重ねると、どんどん重要度が増す「医」へのアクセス。
ところが後期高齢者となると、自転車や車の運転が難しくなります。
また、先の調査の女性の5位に「腰痛症」とあるように、高齢になると足腰が弱くなり、長い距離を歩くことも辛くなっていきます。
年に何回か行く大病院であれば、身内に車の運転をお願いしたり、思い切ってタクシーを利用するのもよいでしょう。
しかしながら、毎週のように発生する日常的な通院に、車の運転をお願いしたり、タクシーを利用するのは、精神的にも経済的にも負担が大きいです。
介護認定をうけ介護保険利用の対象となったとしても、介護保険サービスにおける通院同行は実は制約が多く、現状は日常的に気軽に利用できるサービスとはいえません。
負担や面倒を避けるために、通院を避けてしまうようになると、確実に健康を損なってしまいます。
超高齢化社会においては、自転車や車がのれなくても「医」にひとりでアクセスできる住まいであるかどうかが、健康で快適な生活を送るカギとなるわけです。
老後をみすえた住まいの選択は、日常的な「医」へのアクセスという点を忘れずに検討してくださいね。